モバイルバッテリーの発火事故を見るたびに、「結局どれを選べば安全なんだろう?」と気になっていました。
そんな中、モバイルバッテリー用の耐火ポーチを探して3COINSを見ていたところ、「準固体」と「リン酸鉄」のモバイルバッテリーを発見。
しかも10,000mAhで、準固体が3,300円、リン酸鉄が2,200円。
どちらも普通のモバイルバッテリーより安全性を意識した商品として販売されていました。
「準固体?リン酸鉄?普通のモバイルバッテリーと何が違うの?」と気になって調べてみると、電池の種類以外にも安全性を見るポイントがいくつかあることが分かりました。
「絶対に発火しない」と言い切れるモバイルバッテリーを見つけるのは難しいのが実情です。
ただし、電池の種類や保護機能、安全試験の内容などを確認して、発火リスクをできるだけ抑えることを意識して選ぶことはできます。
この記事では、3COINSで実際に確認した商品も含めて、「発火が怖い」という視点からモバイルバッテリーの選び方をまとめます。
発火しないモバイルバッテリーはある?

「発火しないモバイルバッテリー」があれば一番分かりやすいのですが、「絶対に発火しない」と言い切れる製品を選ぶのは難しいです。
経済産業省によると、リチウムイオン電池を使った製品では、製造時の異物混入など製品側の問題だけでなく、落下や高温環境への放置といった使い方によっても発熱・発火につながるケースがあります。
2024年には、モバイルバッテリーによる事故が123件発生しています。
そのため、「絶対に燃えないもの」を探すというより、できるだけ発火リスクを抑えるために、どこを見て選ぶかを考えたほうが現実的です。
PSEマークが付いていれば絶対安全?
モバイルバッテリーを買うときに、まず確認したいのがPSEマークです。
経済産業省では、対象となるリチウムイオン蓄電池を販売する際、技術基準に適合させたうえでPSEマークを表示する必要があると案内しています。モバイルバッテリー購入時にも、PSEマークを確認するよう呼びかけています。
ただし、PSEマーク=絶対に発火しない、ではありません。
PSEマークを確認したうえで、保護機能や電池の種類、安全試験なども見ていくのがよさそうです。
参照:経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に気をつけましょう!」
発火が心配なら知っておきたいモバイルバッテリーの違い
「全固体」「準固体」「リン酸鉄」など、安全性を意識したモバイルバッテリーにはいくつか種類があります。
私も最初は「全固体が一番安全で、その次が準固体、リン酸鉄……?」と思っていました。
でも調べてみると、単純な順位ではありません。
全固体と準固体は主に電解質の違い、リン酸鉄は主に正極材料の違いです。
さらに、従来型のリチウムイオン電池をベースに、セルの品質や筐体、制御システム、安全試験などを強化して発火リスクを抑える考え方もあります。
全固体電池|液体の電解質を使わないタイプ
まず注目したいのが全固体電池です。
一般的なリチウムイオン電池では、リチウムイオンが移動するための「電解質」に液体が使われています。
一方、全固体電池は、この電解質を固体にした電池です。可燃性の液体電解質を使わないため、従来型のリチウムイオン電池と比べて、液漏れや発火リスクを抑えやすいとされています。
ただし、全固体だから絶対に発火しない、というわけではありません。
モバイルバッテリーとしての安全性は、電池そのものだけでなく、本体の構造や保護機能、使い方や保管環境などにも左右されます。
参照:マクセル|全固体電池とは
準固体・半固体|従来型と全固体の中間的なタイプ
準固体電池は、電解質をゲル状など固体に近い状態にすることで、液漏れやショート、高温時の発火リスクを抑えやすいとされています。
また、内部ガスの発生が少ないため、膨張や液漏れも起こりにくいとされています。
ただし、「準固体」「半固体」という名称だけで安全性を判断するのは避けたいところです。製品ごとに構造や保護機能、安全試験なども確認する必要があります。
参照:多摩電子工業|準固体電池モバイルバッテリー
リン酸鉄|全固体・準固体とは違う方法で安全性を高める
少し分かりにくいのがリン酸鉄リチウムイオン電池(LiFePO4)です。
全固体や準固体が主に「電解質」の違いなのに対し、リン酸鉄は主に正極に使われる材料の違いです。
リン酸鉄リチウムイオン電池は、従来の三元系リチウムイオン電池と比べて熱暴走のリスクを抑えやすく、熱安定性が高いとされています。一方で、エネルギー密度が低いため、同じ容量でも本体が重くなりやすいという特徴があります。
そのため、「全固体よりリン酸鉄のほうが下」「準固体よりリン酸鉄のほうが上」といった単純な関係ではありません。
こちらも、電池の種類だけではなく、製品全体の保護機能や設計まで確認して選ぶ必要があります。
参照:Anker公式|リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは?
従来型リチウムイオン電池の安全設計を強化する方法もある
もう一つあるのが、電池方式そのものを大きく変えず、安全対策を強化する方法です。
たとえば、
- セルに混入する不純物を減らす
- 内部ショートを起こしにくい構造にする
- 燃え広がりにくい筐体を使う
- BMSで電圧や温度などを監視する
- 釘刺し・加圧・燃焼などの安全試験を行う
といった対策があります。
つまり、全固体や準固体ではないから、安全性が低いとは限りません。
電池の名前だけを見るのではなく、製品全体としてどのような安全対策が取られているかを見ることも大切です。
3COINSで準固体・リン酸鉄モバイルバッテリーを実際に確認
今回、3COINSの店頭では準固体とリン酸鉄の両方が並んでいました。

同じ10,000mAhでも、価格も充電性能もかなり違います。
3COINSの準固体モバイルバッテリー
まず、準固体タイプ。

店頭で確認した10,000mAhモデルは3,300円(税込)でした。
PD20Wに対応していて、スマートフォンなどを2台同時に充電できます。
さらに、過充電・過放電・過電流・短絡・過熱保護機能も搭載。公式の商品説明でも、準固体電解質によって発火リスクを低減すると案内されています。

安全性だけでなく充電速度も欲しい人向きという印象です。
参照:3COINS公式「準固体モバイルバッテリー10000mAh」
3COINSのリン酸鉄モバイルバッテリー
一方、リン酸鉄タイプの10,000mAhモデルは2,200円(税込)。

こちらも、過充電・過放電・過電流・過熱・短絡保護を備えています。
ただし最大出力は5V/2.1Aなので、PD20W対応の準固体タイプと比べると充電速度は控えめです。

その代わり1,100円安いため、急速充電より価格を抑えたい人には選びやすそうです。
参照:3COINS公式「リン酸鉄モバイルバッテリー10000mAh」
安全性を重視して選ぶならどれがおすすめ?
ここまで見てきたように、モバイルバッテリーの安全性を高める方法は1つではありません。
そのため、「どれが絶対に一番安全」と順位をつけるより、何を重視したいかで選ぶほうが分かりやすいです。
| 製品 | 安全性の考え方 | 10,000mAhの価格 | 充電性能 | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|
| Bigblue Tech PF10 | 全固体電池 | 6,580円 | PD20W | 電解質そのものを固体化した製品を選びたい |
| 3COINS 準固体 | 準固体電解質 | 3,300円 | PD20W | 安全性・価格・充電速度のバランスを重視したい |
| 3COINS リン酸鉄 | リン酸鉄リチウムイオン電池 | 2,200円 | 最大5V/2.1A | 価格を抑えながら熱安定性も重視したい |
| Anker Nano Power Bank (MagGo, Plus) | NLB+安全試験・BMSなど | 11,990円 | USB-C最大30W/Qi2最大15W | 安全試験やメーカーの品質管理まで確認して選びたい |
※価格・仕様は2026年9月確認時点です。
全固体電池を選びたいなら|Bigblue Tech PF10
発火リスクが気になり、電解質を固体化した全固体電池そのものに魅力を感じる人には、Bigblue Techの「PF10」が候補になります。
容量は10,000mAhで、価格は6,580円(税込)。PD20Wの急速充電にも対応しています。
20,000mAhの「PF20」もあり、用途に合わせて容量を選べます。
全固体という新しい方式を採用しながら、普段使いしやすい10,000mAh・PD20Wという点も選びやすいところです。
ただし、全固体だから絶対に発火しないわけではありません。高温環境や強い衝撃を避けるなど、基本的な扱い方には引き続き注意が必要です。
参考:山善公式|全固体モバイルバッテリー PF10/PF20
価格と充電速度のバランスなら|3COINSの準固体
今回3COINSの店頭で確認した中では、準固体タイプが一番バランスを取りやすそうだと感じました。
10,000mAhで3,300円(税込)、PD20Wにも対応しています。
「発火リスクは気になる。でもモバイルバッテリーに高額は出しにくい」「充電速度も妥協したくない」という場合には選びやすい価格と仕様です。
実際に店頭で商品説明を確認できたのも、個人的には安心材料のひとつでした。
価格を抑えたいなら|3COINSのリン酸鉄
さらに価格を抑えたいなら、リン酸鉄タイプも候補です。
10,000mAhで2,200円(税込)と、今回比較した中では最も手頃でした。
最大出力は5V/2.1Aなので、PD20W対応の準固体タイプより充電速度は控えめです。
そのため、急速充電よりも価格を優先したい人や、リン酸鉄の熱安定性に魅力を感じる人に向いています。
安全試験の内容まで確認して選びたいなら|Anker
電池方式の新しさよりも、メーカーがどのような試験や安全対策を行っているかまで確認して選びたいなら、Ankerも候補になります。
「Nano Power Bank (MagGo, Plus)」は10,000mAhで11,990円(税込)と、今回比較した中では高めです。
その一方で、セルの釘刺し・加圧試験、筐体の燃焼試験、BMSによる監視など、安全対策の内容をかなり詳しく公開しています。
「全固体だから」「準固体だから」と電池の名前だけで決めるのではなく、製品全体の安全設計やメーカーの情報開示まで重視したい人には選びやすい製品です。
参考:Anker公式|Neo Lithium-ion Battery
安全性を重視した製品でも使い方には注意

安全性を意識したモバイルバッテリーを選んでも、扱い方まで何でもOKになるわけではありません。
経済産業省では、強い衝撃や圧力が加わったリチウムイオン電池は、すぐではなく時間が経ってから発熱・発火する場合もあると注意喚起しています。また、高温になる車内への放置も避けるよう案内しています。
参照:経済産業省「リチウムイオン蓄電池搭載製品の事故に気をつけましょう!」
私もモバイルバッテリーを持ち歩くことがありますが、「落としたけど普通に動くから大丈夫」とそのまま使うのは避けたほうがよさそうです。
膨張・変形・異臭・異常な発熱などがあった場合も、使用や充電を中止しましょう。
モバイルバッテリーを使っていないときの保管が気になる場合は、耐火・防炎ポーチについても調べています。
▶ モバイルバッテリーの耐火袋は100均にある?ダイソーで代用品も探してみた
ダイソーのモバイルバッテリーについては、実際に購入して安全機能や充電時の挙動も確認しました。
▶ ダイソーのモバイルバッテリーは危険?PD20W急速充電を実際に使って検証
発火しないモバイルバッテリーについてよくある疑問
日本製なら発火しない?
日本製だから絶対に発火しない、とはいえません。
また、「日本メーカー」と「日本国内で製造された製品」は別です。
日本製かどうかだけで決めるより、PSEマークや保護機能、安全試験、販売元の情報なども含めて確認したほうがよいでしょう。
準固体とリン酸鉄はどっちが安全?
「こちらのほうが絶対安全」と単純には比較できません。
準固体とリン酸鉄では安全性を高める考え方が違いますし、同じ種類の電池でもメーカーや製品によって設計は異なります。
今回の3COINSのように、実際の製品単位で保護機能や仕様まで比較するのが分かりやすいと思います。
安いモバイルバッテリーは危険?
価格だけで危険かどうかを判断することはできません。
実際、今回確認した3COINSのリン酸鉄モデルは10,000mAhで2,200円ですが、PSE適合で複数の保護機能を備えていました。
逆に、高い製品なら発火しないという保証もありません。
「いくらか」だけではなく、中身や安全対策を見るのが大切です。
まとめ|「発火しない」ではなく発火リスクを減らす製品を選ぶ
「絶対に発火しない」と言い切れるモバイルバッテリーを見つけるのは難しいです。
ただ、以前より選択肢はかなり増えています。
今回3COINSで見つけた準固体やリン酸鉄、Bigblue Techの全固体電池、Ankerのように安全試験や制御を重視した製品など、発火リスクを抑えるためのアプローチはさまざまです。
私自身、最初は「準固体なら燃えないのかな?」くらいに思っていました。
でも調べてみると、電池の名前だけでは判断できないというのが一番大きな発見でした。
発火リスクが気になる場合は、PSE・保護機能・電池の種類・安全試験・メーカーの情報開示まで見て、自分が納得できるものを選ぶのがよさそうです。


